能エクスペリエンス日記
#2 現代人と能

佐久間師と筆者。当社近所のコーヒースタンドにて COMPANY

古典というのは何百年も前から同様の形で続いているものだから、ただ単に師匠から弟子へと脈々と継承していれば、冷凍パックのように素晴らしい芸術がそのまま保存されるようなイメージをつい抱いてしまうけれども、やっぱりそんなことはありえないのです。

お稽古に通い、差し向かいでいろんな話をさせていただいていると、能楽師もまた同じ現代人なのだと当たり前のことをつくづく感じます。流派伝来の芸術をそのまま受け継いでいるのではなく、あくまで現代人の表現者として出発して、伝来の型を通じて観阿弥・世阿弥の時代にさかのぼる挑戦をしているのだから、その努力は途方もないなと思わされます。

能を鑑賞したり習ったりする私たちの方もまた現代人ですから、言ってみれば能という大きな芸術を前にしての協力関係を築くことも可能なはずです。現代人のスタイルで大いに古典を楽しむ。能エクスペリエンスなるもののゴールはそのあたりにあるのではないかなと思います。

写真は佐久間師と筆者。当社の近くのコーヒースタンドにて。考えてみればコーヒー文化も不思議ですね。農作物としてのコーヒーは何百年かけてもほとんど変化しませんが、それを楽しむ喫茶スタイルはときどき大きく刷新されて街に現れます。しかも、どこか温故知新の精神を感じさせるものがあります。こういうところにもヒントがあるかな。


堀がお稽古に通っている佐久間二郎師による、能楽おケイコ体験講座があります。
私自身も、本格的にお稽古に通い出す前にこの講座を受けました。一部日程が消化してしまっていますが、途中からでも十分に楽しめますし、「高砂や」を覚えれば古風な婚礼の席で役立つかも(?)知れませんよ!

  • 謡曲・仕舞 能楽おケイコ体験講座(全4回/詳細
  • 場所:北沢八幡神社 参集殿(map
  • 時間:午後3時〜5時
  • 講師:観世流能楽師 佐久間二郎
  • 受講料:各回1,000円
  • 持ち物:筆記用具、靴下または足袋
  • 定員:30名
  • 1回目(6月8日/月):能とはなにか
    謡曲の謡い方と発声&仕舞『高砂』1
  • 2回目(6月22日/月):能舞台と役者
    謡曲『高砂』より「高砂や」&仕舞『高砂』2
  • 3回目(7月6日/月):能面について
    謡曲『高砂』より千秋楽1&仕舞『高砂』3
  • 4回目(7月27日/月):能の囃子
    謡曲『高砂』より千秋楽2&仕舞『高砂』4

お申し込みは、下記メールアドレスまで。
sakujinet@msj.biglobe.ne.jp