Sowの体験ギフトパッケージについて

2010/08/16Sow

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パッケージを改善すべく動いている。いまのパッケージデザインは3月から稼働したものだが、僕がSowにフルタイムJoinしてから最初に、やりたいと騒いで任せてもらった仕事。

これはやんなきゃいけないという確信があった。体験ギフトはいい商品だし、僕らの思いがつまった仕組みだし、少なからず共鳴してくれる人はいると信じている。だが、これじゃ伝わらないかもしれない。最初はただの直感だったけど、いくらかの観察と質問を重ねるうちに徐々に裏付けができてきた。


▲2009年までのパッケージ

学びが多い場面のひとつは、人が誰かにプレゼントを渡す(もらう)ところ。大抵は、あげたものについていいリアクションをとってくれようとする。あげる側も、それをわかっている。常識で考えれば、拒絶的なリアクションはとられない。
お互いに最も避けたいシナリオは、あげた(もらった)ものが何だかわからなくて、いや、もっと最悪なのは「違う何か」だと思われてグダグダになることだ。だから、あげる側は最初は黙っているが、もらう側の推理が上手くいくかどうかじっと観察している。そしてよくわかっていないようだと助け舟を出す。でも、できるだけすぐわかってくれたほうが嬉しい。助け舟も一言だけならいいけど、説明が長くなってしまうと微妙だ。

体験ギフトは、このグダグダにはまり込む危険がある。というのは、プレゼント受け渡しの場面を観察していくと、もらう側が包みを開く時に、ものの形を手がかりに中身を想像することが多いからだ。もらう人の頭の中では、そのものの形と、頭の中にある無数の概念のどれかを一致させようとフル回転中なのだ。体験、モノじゃない、というところに落とし穴がある。もらう人の頭の中にある別のものと何度も一致しそうになりかけるから、リアクションがグズグズする。時には自分でプレゼントしながらも、少なからずそういう場面を見てきた。

そこで今のパッケージでは、「まず、他の何にも似ていない形」を大事にした。大きい箱だと、なにかモノが入っていると誤解される。だから平べったい箱にした。長方形の箱だと、 書籍や冊子のたぐいに見える。だから正方形にした。正方形のパッケージに入っているものは、CDやDVDなど能動的に行動を起こさないと(プレーヤーに入れるとか)いけないものを想起させる(←これは根拠が弱いが、足しにはなるだろう)。CDやDVDが直径12cmなので、まさかCDとは思われない大きさの16cm四方にした。あまり薄すぎるとハンカチやスカーフに見えるので厚さ15mm以上でしっかりした作りにした。開け方も直感的にわかりやすいものだが、他の何かと間違えることのないようなちょっと変わった形だ。これで完全クリアとはいえないが、それ以上に優先される製作上・管理上の制約をいくつも考慮して今の形になった。

次に、パッケージ表面のレイアウトを利用した。体験ギフトは形が機能を表さないので、ひと工夫設ける必要性を感じた。
雑貨や玩具の売場をくまなく巡っていると、パッケージで、箱に穴が空いていて透明なフィルムが貼ってあり、そこから中身が見えるものがよくある。ほんとによくある。箱だけでは用途がわからないアイディア商品や新しものは大抵そうだ。このパターンを利用すれば、箱に穴が空いていて透明フィルムが貼ってあってそこから見えるものは「中身」だ、ということをわざわざ記号的に表現できる。パラグライダーのギフトならば、「この箱の中身はパラグライダーです」という意味になる。できたパッケージをいろんな人に見せてきたが概ね意図通りの反応だ。人によっては最初は(?)かも知れないが、「体験ギフト」という文字、あげた人の助け舟、中を開いて見えるチケットや説明書の説明の、いずれかまたは複数のサポート情報を受けて腑に落ちる。変に違った解釈をまねくよりも(?)のほうがずっと成功パターンに近いと思う。

それから、この透明窓にはもうひとつのねらいがある。それはプレゼントを買う人が商品を選ぶときだ。
僕らは、お客さまや初対面の人に、体験ギフトのことを何と言って説明するだろうか?「たとえば乗馬であったり、パラグライダー、陶芸や、エステなんかもあるんですよ。」必ずいくつか例を挙げて「体験」の意味を大まかにつかんでもらった上で、それができるチケットだということを説明している。窓付きパッケージにすることで、その説明のくだりを商品陳列のレイアウト(店頭でもWEBでも)に練り込むことができるようになった。全く同じフォーマットのパッケージなのに、透明窓の中身だけがいろいろある。パラグライダーの写真、エステの写真、陶芸の写真、そして、それらの写真が小さくシャッフルされた写真。「ソウ・エクスペリエンスというブランドが、いろんな体験をギフトにして売っている。」このメッセージを商品そのもののレイアウトで表現した。


▲現行パッケージ

もちろん誰にでも意図した通りに伝わるわけではないので、実際のWEBや店頭では説明による補助が必要だ。それに加えて購入に至るには使い方の説明とか、体験内容の詳細とか、使える地域とか、お客様によって異なる不安点がまだまだ解消されなきゃならない。でも、いままでのパッケージ(そして世の中のほとんどの体験ギフトのパッケージ)では、「これは何」のくだりから全部説明に頼らざるをえなかったのだ。説明を途中から始められれば、限られた時間でお客さまにアピールできることが広がる。それに、自分が直感的にわかりやすい商品なら、プレゼントした時も相手にとってわかりやすいだろうという期待が生まれる。

ここまでがコミュニケーションの問題で、リニューアルの動機。パッケージが形になるまでには、他にもいろんなことをクリアしなければならなかった。在庫容積を最小限に済ますこと、安く作れること、簡単に種類を増やせること、種類を増やしても在庫を増やさなくていいようにすること、梱包の手間が少ないこと。ほぼ全ての面で旧パッケージの水準よりも改善させた。そして、どの瞬間どの角度でも美しいこと。これらは自分だけのアイディアではもちろんなく、現在進行形で商品を作って送り出しているソウのメンバーや、逆に体験ギフトをよく知らない人も無数のフィードバックをくれた。パッケージ会社の方が製造上の制約を教えてくれ、いけてるアイディアも多数出してくれた。何より旧パッケージ(一尾りかさんによるデザイン)の持っていた美しさから引き継いだものもたくさんある。

ただ、まだまだやり残したことがある。それは体験ギフトをもらったその後のことだ。もらった人が体験を予約して実際に楽しむまで、楽しみな気持ちが途切れることなく続くだろうか?予約システムや体験加盟店にいい形でバトンタッチできているだろうか?そこを考えると課題が山積みだ。具体的には、ギフトボックスの中に入れる説明書やカタログのたぐい。ここはもっと思考投入できる。こういうものもパッケージに含めるならば、パッケージはてんで未完成なのだ。もっともっと改良していこう。

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ほんものへの憧憬

2010/04/10think

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今日からBlogをはじめます。twitterがあるので日常のことはそちらで&不定期になると思いますが、ご笑覧いただければ幸甚です。

さて。

多木浩二『生きられた家』再読中だが、おもしろい記述があった。

私は以前プラスチックの石のカタログを見たとき、そこにはかつての名園の手法にもとづく使用例が出ていた。モールが「キッチュには教育的機能がある」と書いていたのを思い出した。そこにはまがいものとは、不在のほんものと対になることではじめて存在することへの暗示があった。(中略)真正さとは、実物か否かにはかかわりなく象徴的機能をもつことである。だからまがいものは、このかつてあった象徴的機能あるいは理論的な知への憧憬の表現だといってよい。

多木浩二『生きられた家―経験と象徴』

「ほんもの」がなんとなく価値を持つような判断が共有化されるには、「まがいもの」が果たす役割が大きいと多木はいう。
確かに、例えば建築の話なら、木目をプリントした化粧建材は、木にはぬくもりや風合いがあるという価値を顕在化する。
「ほんもの」と「まがいもの」が一組の二項対立として初めて成立するとして、そのあとだ。「まがいもの」をほんものだと思い込んで騙されて暮らしているケースはほとんどない。あくまでほんものに劣る代替物だとわかって受容している。ここからどういう動きがあるかというと、ひとつは高いお金を払ってほんものに懐古すること。多木はこれをネオ・キッチュにほかならないとする。さて、ほかにはどうだろう。

ざっくりだが、その先にあるのはサンプリング的なつくり方ではないかなと思う。「ほんもの」だけが持ち得た価値を要素分解して、新しいメディアに持ってきて再構成すること。サンプリングは、他人よりもほんものに詳しくないとできない。サンプリングとは、「ほんもの」の象徴的機能とは何か、「ほんもの」についての理論的知をいったん自分のものにしてしまったひとが、「ほんもの」の側からものづくりを通じてそれを再解釈することだ。ただこれが面白いと思えるのは「まがいもの」が「まがいもの」として存在することが前提になってくると思う。でなければ全員キョトンだ。なので、まがいもの市場がある程度あったまってくる、というプロセスが必要かも知れない。



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