子連れ出勤インタビュー #2 子連れスタッフの話

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ソウ・エクスペリエンスでは、子連れ出勤に取り組んでいます。このインタビューでは、実際に子連れ出勤しているスタッフに経緯や感想を聞きました。#1 一緒にはたらくスタッフの話』 もあわせてどうぞ。


1:シフト制ではたらく場合

[dropcap style=””]machiko_profile2[/dropcap][highlighted_text]望月 町子[/highlighted_text]
出産を機に前職を退職。娘が1歳半の時に当社での子連れ出勤を開始し約1年。週に2〜3日勤務。


――望月さんは週に2〜3日ほどの勤務で、基本的に出勤日は子連れですね。これまでの経緯を教えてください。

出産を経て仕事への復帰を考えたときに、まず保育園を検討しましたが、私たちの住んでいる地域では待機人数が1,000人という厳しい状況でした。

私は、入社時点で既に娘が1歳で、会社としても子連れ採用を始めたばかりのことでした。ですので最初のうちは、現場にどんな人がいるのか、子連れをどう思われているのか、嫌な思いをさせていないか……わからなかったので不安でした。でも会社からはまず2ヶ月やってみて、それで相性をみて判断しようと言ってもらって、現在1年ほど続けられています。

――慣れるまでは大変だったでしょう。

子どもも含め、最初はみんな戸惑いの連続だったと思います。勝手にPCを切ってしまったり、名刺を床に広げてしまったりということがよくありました。私も申し訳無さから、そのつど仕事の手を止めて娘に構っていたような状況でした。

ただ、これは私と娘と、みなさんとの関係性の問題だと思ったので、職場にいるほかのスタッフたちと自分から積極的にコミュニケーションをとることを始めました。娘にもみんなの名前を教えて、構ってもらいに行く時は名前を呼ぶようにするとか。

――工夫して距離を縮めるようにしたんですね。うまくいくかもしれない、と思ったきっかけはありますか?

ある時、娘に「これはだめだよ」って注意してくれた人がいたんです。その後徐々に他の人も娘が悪いことや危ないことをしようとしたときに遠慮無く叱ってくれる流れができました。それから、とても気持ちが楽になりました。私が出て行かなくてもいい場面も増えるし、みなさんとの関係性の中で娘も学ぶことができる。これは続けていけるかもしれないと思いました。

――いまは他のスタッフともずいぶん打ち解けてきましたね。大きくなってきたのもあるでしょうけれど。子連れ出勤をしてみてよかったことはなんでしょうか。

やってよかったことはたくさんあります。私はなんといっても外に出て働けること。ここに来て同じような悩みを持つママさんたちとも知り合えて、同じ悩みを共有できたのも助かりました。娘はコミュニケーションをとる機会が増えて、人見知りもなかったし、自分で人との関係性を切り開いていけるようになった。これは教えてできるようになるものじゃないと思いますので、とても良かったことだと思います。娘自身もかなり努力して適応してくれたと思うので、感謝しています。

――これから解決しなければいけない問題がありますか?通勤はうまくいっていますか?

私と娘に関しては、現時点では特にありません。ただこの1年間、娘の成長にあわせていろいろな課題がありました。暑くてお昼寝ができない、お昼ごはんを集中して食べられない……といったものです。これからも課題は生まれるかもしれませんが、解決できるものだと思っています。通勤に関しては、最初はバス通勤だったのですが、電動自転車にしてからだいぶ楽になりました。

――今後はどうしていきたいですか?

まだ決まっていませんが、幼稚園に入れる歳になったら、オフィスの近くの幼稚園を選びたいと思います。娘は幼稚園へ行き、私は出勤して、午後娘を迎えに行ってからオフィスに戻ってちょっとだけ子連れ勤務……という形ができないかと考えています。

 

[dropcap style=””][/dropcap][highlighted_text]石井 友花莉[/highlighted_text]
望月と同じく、出産を機に前職を退職。娘が1歳の時に当社での子連れ出勤を開始し、約1年。週に2〜3日勤務。


――石井さんも週に2〜3日ほど、娘さんを連れての出勤ですね。経緯と、最初の印象をおしえてください。

娘が生まれて、地域の待機児童の多さから復職は半ば諦めていました。以前からこの会社のことは知っていたんですが、タイミングよくFacebookページで子連れOKの募集をしているのを見て、これだと思って問い合わせました。やはり外で働きたかったし、子どもを連れて働くのが一番の希望でした。

とはいえ入ってみて最初は、みなさん集中して仕事しているのに子どもがいていいのかなと思いました。また、仕事の手を止めて娘に構わなくてはいけない状況も頻繁にあるし、貢献できていないことに対する不安がありました。ですがここの職場では、娘の機嫌やコンディションがどうであれ、いつも同じように受け入れてくれます。それでだいぶ安心して仕事を覚えることができるようになりました。

――電車通勤ですがいかがですか?

ピークタイムは過ぎていますがまだまだ混んでいる時間ですし、ベビーカーはたたんで抱っこ紐を使っています。娘も大きくなってきたのでそろそろきついですね(笑)。小さな子連れの母親はまだほとんど居ない時間なので、自分の意識の問題かもしれませんが周りの目がどうしても気になってしまいます。靴を脱がせる、優先席の前に立たないなど、迷惑をかけないよう工夫はしています。

――子連れ出勤について、現在の心境を教えてください。

以前は続けられるか悩むこともありましたが、あるときに周りに相談したら「自信をもって働きなさい」と言われました。それで吹っ切れたんでしょうか、続けていくことに意味があると、働き抜く姿を子供に見せたいと思いました。今は自分自身が楽しんで働いているので、その感情が娘にも伝わっていると感じます。会社ではお互いいろんな発見がありますし、そのことで娘との絆が深まったように思います。子どもと二人きりの世界ではなく、社会にでて働くことで自分の中にも余裕が生まれて、それが娘との関係に好影響を与えている面が確かにあると思います。

――今後はどうしていきたいですか?

やはり幼稚園に入れようと思っています。朝、幼稚園に送ってから、迎えに行く時間まではたらきます。もし二人目以降が生まれたらまた子連れ出勤しようと思います。

 

2:フルタイムではたらき、たまに子連れ出勤の場合

[dropcap style=””][/dropcap][highlighted_text]熊澤 康宏[/highlighted_text]
勤続9年。ほぼ創業期から当社に参画。法人営業担当。子連れの頻度は、月に1回程度。


――熊澤さんは営業担当ですが、普段は息子さんを保育園に預けていますので、どうしても預けられないときのセーフティネットとして子連れ出勤を活用していますね。日々の感想はいかがでしょうか。

共働きで妻も会社に勤めているので、スポットで連れてきています。なので子連れ出勤を「ぜひ、子どもを連れて仕事に来よう!」という意味にとってしまうのには違和感があって、僕は「親であるスタッフは、子どもを連れて来てもいいよ」という意味で捉えています。この違いはとても大きいし、個人的にも助かります。大事な仕事があるのに、微熱で保育園に預けられなかったときの失意は経験した方も多いでしょう。そんなときに別の預けられる誰かを探すのではなく、親の自分が見ていられる。あるいは仕事で信頼を置く仲間が分担して見てくれる。とても心強いです。

――仕事にどのような影響があるか教えてください。

子連れ出勤をする日に生産性が下がるかどうかでいうと、局所的にはあります。営業で言えば、特に集中力を必要とする場面がいくつかあって、たとえば大事な電話をかけるときや、企画書を作っているとき。これらは成果に直結するので集中したいですが、1日のうちでそんなに長い時間を占めるわけではありません。幸い今の新しいオフィスでは子どもの入れない執務エリアもありますので、そこで対応できると思います。

良かったことで言えば、必要に迫られて取引先に連れて行ったことが一度だけあります。もちろん相手との関係を考えて判断したことですが、これはとても評判がよく、スムーズに話が進んだくらいです(笑)。

――大事な局面で集中力を維持するにはどうすればいいでしょうか。

個人的に他の子どもの声が煩わしいと思うことはありませんが、息子が、僕がいないと泣いてしまったり、勝手に危ないことをしてしまうというような状況で、意識をそちらに向けざるを得ないのが難しいですね。うちは特に甘えたがりなので……。僕が構えなくてもチームの誰かにお願いできる場合は、多少泣いてしまっていても安心できますし、解決できる問題です。

――さきほど局所的には、という前置きでしたが、全体的にはいかがでしょうか。

全体的にということで、少し大げさかも知れませんが……僕の人生において、「子どもが乳児の時期」をこんなふうに職場に連れてきて一緒に過ごせることが、そして信頼する仲間に息子と接してもらえることが、どれほど僕と息子にいい影響を与えているかは計り知れません。仕事にも確実にプラスです。それは特に強く言いたいと思います。

 

[dropcap style=””][/dropcap][highlighted_text]中井 裕子[/highlighted_text]
勤続3年。ベーシックオペレーションチームリーダー。以前ほぼ毎営業日の子連れ出勤を2ヶ月経験。現在は月に1回程度。


――中井さんは、毎日のように子連れ出勤していた時期が2ヶ月ほどありましたね。はじめたきっかけを教えてください。

当時、既にこの会社で働いていましたが、息子を妊娠していることがわかって、1年間の産休・育休をとることにしました。1年後に復帰するつもりで、会社にはそう伝えていました。後になって保育園を探し始めたら、私たちが住む地域は本当に激戦区で、育休明けまでに預けられる目処が立たなくなってしまったんです。その時、ちょうど会社としては子連れ出勤の取り組みをはじめたところで、代表の西村が「連れてきていいよ」と言ってくれたんですね。それがなかったら、やむを得ず退職という選択肢もありました。その後、2ヶ月間にわたって1歳の息子を連れて来ていました。ただ私の場合はもともとここで働いていたので、みんなも息子と最初から打ち解けやすかったかなと思います。その後運良く預けられる保育園が見つかって、今はたまに連れてくるくらいですね。

――その後は、ベーシックオペレーションチームのリーダーとして、パートタイムで子連れ出勤を行うスタッフたちを職場に受け入れる立場です。両方の立場を経験して見えたことがあれば教えてください。

子連れ出勤をはじめたタイミング的にも、子どもの年齢的にも、パートタイムのスタッフたちのほうが少し先輩なんです。なのでお仕事との両立の仕方とか、子育てそのものについては、私が教えてもらうことのほうが多いです。ただ私も子育て中のママの苦労がわかるので、環境整備の面で力になりたいなと思っています。日々できる限りコミュニケーションをとりながら改善を進めていっています。

――改善がうまくいったことはありますか?

小さなことはいろいろやっています。荷物を置ける場所をつくったとか、そういう地味なこと。大きなことで言えば、アンケート調査を実施して全社的に意見交換したことですね。子連れ出勤を経験していないスタッフたちがどう思っているのか。自分も子連れ側の感覚なので、どちらかというと自分たちに厳しい意見を拾う覚悟で質問内容を作ったんですが、思いの外みんなの回答が温かくて、もっと協力したいという意見が多かったんです。改善点もいっぱい書いてもらいましたが、何よりみんなで思ってることを共有できたのがよかったと思います。

また、他に子連れ出勤を実施している会社さんへ見学に行ったのも学びがありました。今年引っ越してきたいまのオフィスに土足禁止スペースを設けたのも当社のオリジナルのアイディアではなくて、見学に行った会社を参考に導入したことです。土足禁止スペースとそれ以外を分ける仕切りを作ったことで、フロア内の目の届かないところに行ってしまうことはほぼなくなりましたし、危ないものを遠ざけることも以前より簡単になりました。

――子連れ出勤に興味のある会社や団体の方へ伝えたいことは。

私たちの会社にかぎらず、いろんな事例を見ることをおすすめします。会社の規模とか業種、スタッフの構成、子どもの年齢などによってベストの形は違ってくると思いますので。確かにいまの私たちが置かれている条件の下では子連れ出勤は合っていて、1つのうまくいっている形だと言えるかも知れません。ただこれがスタッフ数がもっと大きかったらどうかとか、託児所を社内に設置していたらどうかとか、まだまだ未知の部分がありますので、ぜひいろんな可能性を考えながらベストな形を探していただければと思います。

経験から感じるのは、導入にあたってどんな設備が必要かとコストばかりをみるよりも、まずは意識の持ちようだということです。安全確保ができる状態であればまずは導入してみて、慣らし運転で進めて、難しそうなら考え直せばいい。会社側と働く側が、お互いに慣らしていく前提で進めれば、子連れ出勤は案外簡単に始められるものだと思いますよ。


 

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